都市対抗野球を巡って:感動した言葉と、腹が立った言葉


表題のとおりの言葉を、ここ最近続けて目にした。


まずはあえて良いほうの言葉から。
http://www.hochi.co.jp/baseball/ama/20151201-OHT1T50133.html

「野球人生で最もドキドキしたのが、都市対抗2次予選。最後に都市対抗で優勝したくて戻ってきた」
「プロに戻るためではない。自分が育てた選手で十分なら、投げるつもりはありません」
都市対抗は大人の甲子園。今から試合が怖い。自分が投げるより怖い」

泣けることを言ってくれる・・
社会人を経てプロで大成した選手が、野球生活の最後に都市対抗で勝ちたいと言ってくれたのが素直に嬉しい。いつかこんなことを口にしてくれる選手が出てこないものかと思っていた。都市対抗は大人の甲子園、というのも言い得て妙。
同じ千葉県のチーム、早くもロッテファンから見に行きたいとの声が上がっている。来年の南関東予選は果たして千葉マリンだろうか。
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で、せっかく嬉しい言葉を目にしていい気分になっていたというのに、今度はとても残念なものを目にしてしまった。それも、渡辺俊介の言葉を知ったすぐ後に。久々に噴火したくなりましたよ、ええ。


九州の熊本ゴールデンラークスがこの度、チーム名を改名するらしい。それについての想いを、代表の方?が綴っている。
熊本ゴールデンラークスが改名することになりました
2007年に初めて都市対抗に出たとき、彼らのチーム名を目にした野球関係者にこう言われたそうだ。

1番心に残っていることは、
「国体(国民体育大会)じゃないんだから…」
と言われたこと。
熊本ゴールデンラークス
初の全国ということでユニフォームを新調。胸のマークを『KUMAMOTO』として乗り込んだ。
都市対抗野球大会。全国各都市を代表して戦う大会だ。
熊本市代表として堂々と乗り込んだところ野球関係者からは馬鹿にされたのだ。

この「野球関係者」って誰?
まさか、JABAの人じゃないですよね?
マチュア野球の最高峰。会社ではなく、あくまで地域の代表としての大会を全面に押し出している(はず)のこの大会の主催者に、こんなこと言う人、いるわけないですよね?
その人には、都市対抗野球の歴史に対する知識が全くないか、あるいはまったく興味がない人だと言わざるを得ない。
第1回大会から太平洋戦争前までの大会の優勝チームを見てごらんなさいな。あるいは、橋戸賞の語源となった橋戸頑鉄氏がなぜこの大会を創設するに至ったか、もう一度おさらいしてごらんなさい。
こんな言葉が出てくるわけないでしょうに。

「観客動員どうするの?入るの?」

・・東京ドームの物販担当の営業関係者さんか何かですか?今年の東京ドームは関東のチームが上位に進出せず、青い顔をされていたんだじゃないですかね?
近年企業チームの数はだいたい80台後半くらいで落ち着いているが、ここのところ新規にチームを立ち上げる企業は、野球よりも仕事優先を掲げる中堅企業が多くなっている。しかもそれらは関東以外に本拠地を持つところが多く、都市対抗の内野応援席をポール際まで埋められそうな動員力を持つところは、正直言って見当たらない。上のような言葉を聞くと、
「企業チームが増えてくれてうれしい。でも、予選で負けてくれるともっとうれしい」のが関係者の本音なんじゃないかと穿った見方をしたくなる。(もっと言ってしまえば、ベスト4を関東の一部上場企業で占めてもらいたいっていう)


数日のあいだに、社会人野球に関して歓喜と失望を一気に味わったような気がする。渡辺俊介に続いて、社会人野球を盛り上げるような話題が出てきて、いやな気分を忘れさせてほしい。