野球版Jリーグ(5)◆チームの「地元」はどこ?


上の写真は夏に東京ドームで「都市対抗野球展」を見たときにあった、各出場チームのユニフォーム。それぞれのユニフォームの袖口に、企業ロゴとは別のマークがある。これらは本拠地自治体のマークだ。企業・クラブ問わず、おそらくチームの登録の際に本拠地の登録は義務づけられていると思う(規定類を見たがうまく見つけられなかった・・)。
この本拠地、いわゆる地元というもの、チームごとに見ていくとけっこうバラバラだ。全国を見るのは大変なので、僕が住んでる関東地方に絞って見てみる。


関東の企業チームのうち、毎年都市対抗の候補になるような有力どころは全部で16チーム。そのうち業種が製造業、というのが9チーム。残り7チームは金融、運輸、エネルギー、通信、サービス業といろいろ。
製造業のチームの地元というとわかりやすいイメージがある。大規模な工場があって、それを取り巻く街があって、いろんな形でかかわる人が住んでいて・・ こういう、かつては主流だったと思われる形態を今も残すのが、富士重工日立製作所住友金属鹿嶋、かずさマジック、三菱重工横浜、ホンダだろうか。なかでも、より地域を重視しているのがかずさ。君津市とそのまわりの木更津、富津、袖ヶ浦(かずさ4市)が地元ということになっている。
ホンダは埼玉県狭山市が本拠地扱いだけれど、関東でも他に工場があり、ややばらけている(鈴鹿、熊本では独自にチームを持っている)。ちなみに本社は東京。
これと逆なのが鷺宮製作所で、東京都の登録だがチームのグラウンドは工場もある狭山市。もともと東京と狭山の2チームだったが、統合されて東京だけになった。でもグラウンドは狭山・・
統合されたチームと言えば、東芝JFE東日本もそう。東芝は前回書いたとおり、落合博満清水直行を輩出した府中を統合し、川崎だけになった。JFEスチールは、(かつて川崎に強豪チームを持っていた)日本鋼管川崎製鉄が事業統合してできた会社だ。事業統合されたときは既に日本鋼管のチームは無かった(福山市のチームと統合されていた)ので、千葉市にあった川崎製鉄のチームが名前を変えて存続している。よって、工場は千葉と川崎に分かれて存在しているがチームは千葉だけに存在している。
かつては製造拠点ごとに野球チームがあった企業でも、合理化によりチームを合併してしまった例はよくあり、こういったチームでは特に「地元」があいまいになっている。


製造業以外のチームになるとさらに「地元」の概念が希薄になる。JX-ENEOS東京ガスはまだはっきりしているが、セガサミー明治安田生命日本通運、こういったモノづくりでない企業の場合、地元はどこかと聞かれてもうまく答えられない。あるいは、日本全国が地元と言えるかもしれない。JR東日本も、本社こそ東京だが(グラウンドは千葉県我孫子市)、かかわる人は東日本全体に散らばる。
どのチームも練習グラウンドや合宿所を持ち、現地で野球教室を開いたりして地域とかかわろうとする姿勢を持っていることは付け加えておきたい。


それにしても、関東だけを見てもこれだけ地域・地元との関係が企業チームごとに違うとは。日本全国には、企業チームだけでもあと何十もあるというのに。
その違いは、業種の違いであったり、産業構造の変化、企業の統廃合など環境の変化のせいであったり、企業スポーツに対する考え方の違いのせいであったりする。この、地域とのかかわりのチームごとの違いについて、言及している記事をあまり見たことがない。


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