等々力球場、最後の日

2015年10月31日。早慶戦もやっていたこの日に僕が向かったのはここ。
等々力緑地公園の中にある硬式野球場、等々力球場。
なぜここに来たのかというと・・

この日を最後に、この球場は解体されるのだ。


等々力緑地公園野球場。この野球場へは、ほとんど社会人野球しか見にきたことはない。しかも企業チームは見たことがなく、クラブチームばかり。神奈川のクラブチームはほとんどここで見てきた。
見た目は極めてあっさりしていて、球場を示す看板ひとつない。運動公園のなかにある硬式野球場というのは、入り口やスタンドにたいてい「○○野球場」と名を示す物があるものだが、ここにはそういったものがまったくない。

でもそのあっさりした佇まいが、なんというか、敷居の低さを感じさせていて、硬式野球を気軽に見ることの楽しさに気づかせてくれた気がする。

社会人の予定はなかったし、首都大学リーグもここを使わなくなっていたので、試合をやっていると思わなかったが、入ってみると硬式野球をやっている。どうやら、高校の練習試合のようだった。
観客はパラパラ。
スタンドからグラウンドまでの高低差が少なく、ネットまでのバックストップが短いこともあり、投球が実によく見える球場だった。
そして、等々力球場といえばここ。

球場脇のうどん屋さん。夏はかき氷もやっていた。ここには何度もお世話になっていただけに、最後の日はうどんを食べたかったのだが、残念ながらこの日はやっていなかった。


グラウンドという「内」と、スタンドという「外」との壁をあまり感じず、かといって草野球ほどゆるくはない。この不思議なバランスを保った稀有な野球場だったと思う。

新しい等々力球場は、もうこんな雰囲気は望めないだろうな。


野球場の最後の日というのは初めてだったけれど、もちろん何もセレモニーもなく、ただあっさりと、淡々と役目を終えていった。球場を示す看板ひとつない、この球場らしい淡々さだった。