市民球団という夢

今週、青森県弘前市にあるクラブチーム・弘前アレッズが元日本ハムの今関勝氏を監督に迎えたというニュースが流れた。
今年の初め、「弘前市へのプロ野球公式戦誘致のアドバイス」と市内の野球指導を目的として市職員として採用されていて、この度アレッズの監督を引き受けるようになった。監督業は基本的に無報酬だという。
僕が注目したのが、この監督就任の記事。http://mainichi.jp/area/aomori/news/m20150210ddlk02050040000c.html
監督就任の記者会見を市役所内で行ったとある。基本的に業務外のはずのクラブチーム監督、それについての会見に役所のスペースを使っているのを見て、僕は弘前の本気を垣間見た。弘前アレッズは、「弘前からプロ野球選手を輩出すること」「都市対抗野球出場」を目的として市民や企業から応援をつのって運営するという、近年の新興クラブチームの中でもかなり「市民球団」を全面に出しているチームだ。地域貢献をうたうチームは他にもあるけれど、こうして行政のバックアップ(とまではまだ言えないか)を得られるようになるのは稀だ。この面での成功例と言えば、このブログを覗いている方ならしょっちゅう目にする栃木のあのチーム(笑)だけれど、あそこまで達するのは全国のクラブチームの目標・夢ではないかと思う。


野球に限らず、プロもアマも関係なく、スポーツチームにかかわる人もしくはチームのファンにとって、自らのチームが「市民球団」と呼ばれる存在になるというのは、潜在的な夢なのではないかと思うことがある。チームオーナーと呼ばれる個人や企業を持たず、チームの本拠地を取り巻く人々が「みんなで」支えるスポーツチーム。そこには漠然としたひとつの理想があるような気になる。「市民球団」という甘い響きには抗い難い。
なぜそう感じるのかといえば、おそらく自分達の及ばない大きな力に翻弄されるような気がしないから、だろう。
古くは福岡の西鉄ファンは所沢にライオンズを取られ、御堂筋パレードを見送った南海ファンは逆に福岡にホークスを取られ、そして近鉄のファンはまさかのオリックスとの合併という現実を見せられた。社会人野球のファンなんて、「カイシャ」の役員会議の前にはなすすべもない。いすゞもふそうも日産もみんな消えた。(なかにはカイシャごと消えてしまったとこだってある)


しかし、あくまで「気がしないから」としか感じない。それはおそらく、成功例が少ない(ていうかほとんどない)からだろう。カープはたしかに企業色は薄いものの、株主構成を見ればマツダと松田家がほとんどを占めている。他の11球団は言わずもがなである。
先例がないと、成功することを想像する自体が難しい。「市民球団」なんて言葉を聞くと「なんかいいよね、でも、難しいだろうな」と反射的に思ってしまう。


世界に目を向けるとどうだろう。
市民球団」と検索すると、たいていカープのことが載っていたりするのだが、ある文言が目をひいた。
NFLグリーンベイ・パッカーズ。このチーム、米四大プロスポーツで唯一の市民球団だという。どんなチームなんだろうか?