4年生引退の日@法政x東大

法政大 5 - 0 東大
10/26 明治神宮野球場 観衆13,000人


ブログに書いてないが、今年僕は東大の公式戦を何試合か見に行っている。
もちろん勝った試合は無い。今年はこの日まで勝ち星はゼロ。85連敗中だからだ。接戦になったらブログに書こうと思っていたのだが、ちょっと書く気になれないくらいの大差がつく試合ばかりだった。僕の行った試合はみんなそうだった。それでも僕の行っていない日には「善戦」と言っていい試合もあった。あくまで善戦だが。
この日が4年生にとっての最後の公式戦。相手はそれまで勝ち点0の法政。土曜の試合は投手を温存して大敗を喫している。日曜の試合に賭けているとみた。

神宮に行く途中に通るテピアホールをのぞくと、奥にヤクルトの新旧ユニフォームが展示してあった。何の展示だろう。
午前11時開始の第一試合前、グラウンドを見ると、東大の辰亥由崇(高松)が投球練習をしている。予想通り、日曜に賭けてきた。秋のリーグは先発から外れたことが多かったが、ケガでもしていたのだろうか。昨年そこそこ活躍していたのを思うと、今年はちょっと期待外れなところがある。法政は鈴木貴也(済美)で四国どうしの投げ合い。

1回表に東大はヒットと四球で2人出すも凡退し、その裏に最初のピンチが訪れる。ヒットと四球などで1死満塁とされると、5番齊藤秀之(北海学園札幌)に三塁強襲打を打たれ1点先制される。しかしサードが弾きながらもその1点に抑え、辰亥は後続をセカンドゴロとライトフライでしのいだ。このピンチを1点どまりにしたのは大きい。
辰亥は3回にも1死2,3塁のピンチを迎えるも先ほどタイムリーを打たれた齊藤をインコースで空振り、満塁からセカンドゴロにとるなど、ランナーを出しても落ち着いていてあまりピンチを感じさせない。法政の四番・畔上翔(日大三)を警戒して歩かせる場面も複数あったが、前日土曜日の13四球の試合とは全く四球の意味が違っていた。試合の雰囲気が全然違い、守備も集中力があった気がする。

この人の投球は何度も見ているけれど、以前より下半身に粘りがあるように見えた。僕の後ろで「(立教の)澤田圭に似てる」という声が聞こえる。球速が全然違うけど、後でyoutubeを見たらグラブを持つ左腕の使い方が似ているかも。
球が低めに来ているし、球速も5キロぐらい速かった気がする。


しかし期待に反して打線はちぐはぐになってしまっている。4回表には笠原啄志(甲陽学院)が内野安打で出るも盗塁失敗、打席の有井佑人(新田青雲中教)が直後に三塁打を放ってしまった(のちに法政のセンターが交代させられる。判断を誤ったせいか)。1死三塁のチャンスだが2者凡退。ムードは悪くない。4回裏には法政の打者がセーフティの構えを出し始める。僕には「焦りが出始めてる」と見えた。

そんな5回表、辰亥に打席がまわってきたところで代打を出された。僕は「えっ」と思った。ランナーがいてチャンスではあったけれど、「ちょっと早い」と思った。法政はちょうど2巡がおわったばかり。せめて3巡までは行かせたほうがいいんじゃないかとメモをした。結局チャンスを生かせず得点できない。
5回裏から出てきたのは1年生・宮台康平(湘南)。昨年神奈川春季大会でベスト8に入った湘南高校のエースで、東大に現役合格している。僕は秋に1度だけ見ている。

左から放たれる球は最速138kと、受験勉強を経て入ってきた1年生と考えるとかなり速い。しかしランナーを出し畔上にうまくすくわれてセンター前に打たれ満塁。次の齊藤はインコースの136kで見逃しで凌いだが、若林晃弘(桐蔭学園)にレフト前タイムリーを浴び3-0とされる。ここまで粘って1点差だっただけにスタンドはため息。
宮台はその後、6回に畔上に甘い直球をとらえられ4点目をとられるが、それをのぞけば球は低めに来ていたし、コントロールもよかった。なにより、2安打された畔上に対しても8回は逃げずに三振を奪うなど、度胸もある。というか、この人を見ていても他の東大投手を見ているときのハラハラする感じがない。結果だけ見たら確かに点は取られたが、将来が楽しみだと思う。

必勝リレーで勝ちを狙ってきた東大だが、打線は応えられなかった。対早大戦で13安打を放ち、秋季リーグで計4本塁打と最近では最も当たっていた打線も、4安打に抑えられた。現状で東大が勝つには、まず先制もしくは最少失点で序盤をしのぎ、守り抜いて相手の焦りを誘いロースコアで勝負する、という方法しかないと思うのだけど、流れを呼べないまま進んで相手が普段通りの力を出せる展開になってしまうとやっぱり厳しい。終わってみれば、現状がそのまま出たという感じになってしまった。


試合終了後のあいさつを終えると、続々とカメラマンが湧いて出てきてベンチの東大の選手達を写しだす。今の4年生は一度も勝利を味わうことなく引退してしまう。それだけで目をひく記事が一本書けるからだ。来年もし100連敗に近くなることになれば、また彼らは湧いて出てくるんだろう。
そうならないことを願いたいが、展望はそんなに暗いとは思ってない。今日投げた1年生の宮台は連敗を止めそうな雰囲気がある。ケガだけは気を付けてほしい。