全日本クラブ選手権3日目(その2)

浜松ケイ・スポーツBC 1 - 8 全足利クラブ
大和高田クラブ 3 - 5 松山フェニックス


この日3試合目の試合。試合展開は全体的に前日より早く、ほぼ予定通りの試合開始となった。
浜松ケイスポーツは今年の都市対抗東海地区予選で、三菱自動車岡崎を逆転で破り、岡崎を予選敗退に追い込んでいる。もとは河合楽器の関係者が作ったクラブチームだが、ケイスポーツの「K」は河合楽器のKでは無いとのこと。
岡崎を破った試合で先発した伊藤巧は1回戦で先発したため、この日は森本優也(八戸大)が先発。全足利は庭月野。どちらも1回戦の後半でリリーフしている。
浜松の森本は序盤から球が荒れることがあり、足利の一澤孝一、熊田圭に死球を与えてしまい、二人とも交代。後で知ったが、熊田は手首骨折してしまったらしい。
浜松の選手で目を引いたのは、助監督兼任の田原知典、44歳で、なんと元河合楽器の選手。河合楽器の最後の生き残りだと聞いた。残念ながら庭月野の球を内野ゴロに終わる。
先制は3回裏、ヒットとバントでランナーを二人置いたところで一澤に代わって四番に入った新藤主将がセンターオーバーの2ベース。その次の4回裏には、高橋二郎がレフト左横にタイムリ三塁打を放つも、レフトが処理を誤ったのを見逃さす一気にホームへ。スタンドから「それは無理だろ」の声があがるもタッチをかいくぐってホームイン。僕はランニングホームランかと思ったが、実際は三塁打+エラーが記録された。

この試合、走塁の意識の差が良く出た試合だったと思う。
4回表に、庭月野がライトに長打を3本連続して食らったのだが、どういうわけか満塁になっただけで0点のまま。結局内野ゴロの間の1点にとどまってしまう。
いずれも高いフライで、捕られる危険性を警戒したのかもしれない。だが僕は第一試合で柏の2ランスクイズを見たあとだったので余計に走塁意識の差を強く感じてしまった。
庭月野は3連打を浴びたあとにエンジンがかかり、インコースに145kmのストレートを気合いで決めるなど、つけいる隙を与えなかった。
打つ方は高橋二郎が、先ほどのセミランニングHRに続き、6回にライトスタンドにソロをたたきこむ。この選手、とにかくプレーに引き出しがとても多いという印象がある。ロッテの岡田と違いホームランも打てる。ちょっと将来が楽しみだったりする。

浜松は好投していた投手を代えてしまうという謎の継投で、7回にヒット、暴投、タイムリーで2点取られ、今大会3試合目のコールドゲームとなってしまった。三菱岡崎を破ってみせたチームだが8強止まり。東海地区は8強の壁を破れないな。
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第4試合もまた、ほぼ予定通りの開始。前日の延び延びの一日とはまったく対照的で、2時間以上早い。
これもまた注目の、大和高田クラブvs松山フェニックスの試合。前夜遅くまで投げた松井佑二はやはり先発を回避し、秋山章悟(NTT西日本)に託した。そして大和高田は今季から加入のエース、仁平昌人(立教大)と予想通りの起用だった。ワイテックが廃部になってしまい今季から加入していたのは知っていたが、見るのは本当に久しぶり。立教時代に斎藤佑樹と先発で投げ合った試合を見て以来だから、5年か6年ぶりくらいだ。松山にも越智竜一という明大出身の選手がいるので、対戦したこともあるかもしれない。

でもその仁平を見て「こんな投手だったかな」という感じがした。調子が悪かったのかコントロールが良くない。移籍してから結構成績がよかったので、もっと無双するかと思ったのだが。3回表にヒットとエラーで2点を先制される。
これに対し松山の秋山は時折ヒットを許すものの得点をゆるさず。真上から投げ下ろすフォームが印象的。

松山フェニックスは松井佑二にばかり気を取られていたので、こんなにいい投手だと思わなかった。


仁平が中盤にかけて持ち味を発揮しはじめ、こう着状態になってきた。
そして7回裏、球が浮きだした秋山を大和高田が攻め、ヒットと四球、バント、死球で満塁とする。ここで、とうとう松井佑二が登板。
しかしストレートを打たれ2-1と1点差になり、さらに満塁フルカウントから投げたスプリットが外に外れ、押し出し同点。一塁側応援団が沸く。
試合はどちらもこのまま決めてなく、タイブレークとなった。

10回表、大和高田は米倉大介(近畿大)を登板させるが、ヒットと四球で3点取られる。
その裏エラーで大和高田が1点返すも、反撃はそこまで。5-3で松山が勝利を収めた。


一日4試合は初めての経験だったが、試合時間も短いうえに興味ある対戦ばかりだったので、見ていて疲れを感じなかった。第3試合は差がついてしまったが、あとの試合は好ゲームばかり。都市対抗予選の各地の活躍から、今年の大会はレベルが高いという前評判だったが、その通りの試合が続いたと思う。