本当の都市対抗野球が帰ってきた日

67年ぶりのクラブチーム同士の対戦となった22日の2回戦。注目したのはグラウンドの中だけでなく、グラウンド外の様子もすごく楽しみにしていた。どれくらい人を集められるのか、応援体制はどうしたのか、等々。
22日は3連休明けの平日の午前と、条件的には最悪に近かった。どうせなら、クラブチームの応援にどれくらい人が集まってくるのか見て見たかったのが正直な気持ち。ネットを見ていても、平日なので行けない、という人が本当に多かった。

ドーム前に着いた僕は、正面入口に入る前に一塁側の全足利のテントに向かった。なんでもうちわがもらえるらしい。これは映画『バンクーバーの朝日』の撮影が足利でやった縁で、スタッフが贈ったものらしい。
テントに行くと、人が並んでた。ええと、この後ろかな・・って、あれ?あれ?最後尾はどこ?
何これ?

何人並んでるの?きょう平日でしょ?
普段からクラブチームとか独立リーグの試合ばかり見ているから、観客の数に関して感覚がマヒしている。等々力や府中のクラブ予選で100人を超えると「きょうは多いな」と感じてしまう僕にとって、クラブチーム同士の試合で行列ができるというのは想定外の出来事だ。これだけで早くも胸が熱くなる。
ドームの一塁側に入ると、あたりが真っ赤だ。うちわだけでなくTシャツも配っていたからだ。これを揃えるのにいったいいくらかかったんだろうか?でも一度配ってしまえば、この真っ赤なTシャツを見てチームのことを思い出してくれるという効果もある。
今回の応援団は市役所の職員、高校のブラスバンドバトントワリング、地元の小中学生のチアリーディング、それと八木節同好会にご当地アイドルと、まさしく総動員だ。その数なんと3600人。

対する松山はどれぐらい来てくれるか心配だったのだが、都内の県人会の人達が中心となって来てくれたらしく、1200人ほどいたらしい。足利より少ないがこれもすごい数だ。
試合中、その三塁側から聞き覚えのある応援歌が流れてきた。・・・早稲田のチャンステーマやん!何で?と思ったが後で報道で早稲田の応援団が少し協力していたのを知った。

両市合わせて4800人。繰り返すがこれはクラブチーム同士の平日の試合だ。事情をご存じない方にはなかなかわかってもらえないが、これは異次元の数字です。少なくとも全国のクラブ関係者は目を丸くしているはず。

栃木のゆるキャラ「とちまる」と地元の小中学生のチアリーディング。この子達はちっちゃいだけで動きは大学生のチアと変わらなかったのには驚いた。
足利の応援団は音合わせを1回しかできなかったみたいだが、市民の声援がすごくてハンデを感じない。ただ、八木節の調子がいつもと違っていたような気がしたが。
5回裏のグラウンド整備時にご当地アイドル「渡良瀬橋43」が出てきた。出てくるタイミングが遅くて6回表にかかってしまい、歌っているあいだに庭月野が相手を凡退させてそっちで沸いてしまうシーンも。それから、どうせなら「渡良瀬橋」を歌ってほしかったなと思う。

試合に敗れたので都市対抗はこの1試合だけに終わってしまったのが残念。これが休日ならおそらく応援は外野まで達していたんじゃないかと思う。でもあの応援は僕の予想をはるかに上回っていた。「大きなおまつり」は実現できていたのではないか。
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この試合、「あしかが〜」「まつやま〜」の声を何度聞いたかわからない。「松山市代表」を「まつやま〜」と応援で連呼する、こんな当たり前のことが出来ていなかったのが現代の都市対抗野球だった。
松山はNTT東日本に0-7で敗れ、クラブチームの存在感をグラウンドで見せることはあまりできなかったが、応援において「本当の都市対抗野球」を見せることは叶ったと思う。これを見たさまざまな立場の人がどう感じるか・・
<今回のまとめ>