鎌ヶ谷は本物のボールパークだった@イースタンリーグ 巨人x日本ハム

巨人 8 - 0 日本ハム
7/15 鎌ヶ谷スタジアム 観衆4,173人


もぐりだった・・
マイナー野球が好きだとか言っておきながら、今までこの野球場に来たことがなかったなんて、なんというもぐり。
鎌ヶ谷からの帰りにそう思った。

都市対抗の真っ最中の3連休。三菱重工横浜の試合のある日だったがドームには行かず、日本ハム2軍の本拠地・鎌ヶ谷スタジアムに行ってきた。久しぶりに斎藤佑樹の様子が見たかったのと、今まで鎌ヶ谷スタジアムに行ったことがなかったからだ。なんで足が向かなかったのかというと「遠かったから」。僕の住む横浜からは鎌ヶ谷はけっこう遠い。日本ハムはそれほど興味ある球団でないので、どうしても足が向かなかった。この日は斎藤が先発なのがわかっていて、こういう機会でもないと見に行かないな〜と思い、片道2時間かけて行ってみた。
東武野田線の電車は上部に黄緑色のラインが入ってる。ひょっとして鎌ヶ谷ファイターズのあの色かなと思いつつ駅で降りると、意外とファイターズを思わせるもの(追浜駅で見かけたバナーとか)がない。壁に1枚だけ鎌ヶ谷デーというイベントのポスターを見かけただけ。

駅から100円のシャトルバスに乗り10分。駅を出ると住宅街を抜け、みるみるうちに辺鄙な雰囲気になる。両側に果樹園らしきものが広がる。そういえば、この辺りは梨の産地だった。たぶんあれは梨畑だろう。丘陵地帯を切り開いたような道を抜けると、梨園に囲まれた鎌ヶ谷スタジアムに着いた。
バスを降りていきなり、「ここって遊園地か何かですか?」とあたりを見回してしまう。びっくりするほどの出店の数、パラソルつきの大量のベンチ、巨大な遊び場、遊具、迷路、はては人工雪?まで。なんじゃこりゃ。
ファイターズグッズや食べ物に心ひかれながらも、とりあえず中だなと思い球場内に入ると、球場内コンコースにも出店コーナーがある!球場の外にも内にも出店があるなんて、ファームではもちろん初めての経験。
横須賀スタジアムの雰囲気は2軍にしては力が入ってると思っていたし、BCリーグのお祭り的な雰囲気も毎回楽しみにしている。しかし鎌ヶ谷の雰囲気は、それらをずっと上回っていると感じた。アメリカのマイナーリーグ独立リーグを僕は実際に見たことはなけれど、かのボールパークの雰囲気に最も近いのはここじゃないだろうか。
すぐ気がついたのは、子供の数がとにかく多いこと。僕の記憶の中では、1軍も含めて、すべての観客のうちに占める子供の割合が最も高い。なんでもライト側スタンドに子供用プール(!)が完成していたようで、それ目当てのお客も多かったろう。


・・球場の雰囲気ばかり気を取られて、肝心の試合。 特に中盤以降はあまり覚えていない。というのは、試合内容がお粗末だったからで、余計にグラウンド外のことに気をとられてしまった。

先発の斎藤はここ最近は短いイニングを投げてきていたが、きょうは久しぶりの先発。試合前はかなり集中を高めていたようで、試合前恒例のスタンド投げ入れも忘れてしまうほどだった。
1回、2人を3球くらいで片付け、3番の橋本到もレフトへの高いフライ。「フライかな〜・・あれ?」・・レフトスタンドへあっけなく入っていき、観客も「えっ?」。旗を見るとレフト方向へ強くなびいていた。
大田を警戒して歩かせ、次の脇谷はセンターフライにしとめる・・ はずが、中堅の谷口、スタートがワンテンポ遅れたあげく一歩前に出てから背走→背後にポトリというプレーでスタンドは大ため息。1軍だったら即交代させられる。これで2-0。
さらに小笠原に足元へ死球を与えてしまうが、ルーキーの坂口を三振で切り抜けた。
巨人の先発・福田聡志は球が速い。平均で140を超えているうえに制球もよく、ハム打線につけいるスキを与えてない。

ここ鎌ヶ谷は三塁側後方に寮があるので、ホームは三塁側。三塁側の上段に20人くらいの応援団がいて、人数もあって雰囲気はBCリーグの応援団に似ている。応援パターンもこの前見た群馬の応援と同じ(横浜とも同じ)。
試合が始まってからスタンドはほぼ満員になった。3連休の最終日で登板が斎藤だから、混むとは思っていたけれど、こんなに混むとは。特にイベントらしき告知はなかったが、イベントがなくても週末はこれくらいが普通なんだろうか。


斎藤は2、3回は無難に抑える。初回ホームランを打たれた橋本を三振にとってお返しをするなど調子はよくなってきたかなと思いつつ4回、小笠原にファウルで粘られながらも落ちる球で三振。次の坂口四球、大累を内野フライにとったところで、突然の交代。球数が75球なので、たぶん予定通りだったんだろう。4回途中で75だから、球数が多めだったのが気になった。

球数が75と書けたのは、ここのバックスクリーンになんと球数が表示されるからだ。ボール、ストライク数もわかるという極めて珍しい(というかここだけ?)球場表示は、今年1月に設置されたという大型LEDビジョンのおかげ。2軍の本拠地にすごいお金のかけ方をするものだ。ジャイアンツ球場は2億円かけて夜間照明を設置したが、ここ鎌ヶ谷の投資の額もすごい。
それとともに、残念なのがバックネット。この前見た大垣北公園と同じで、バックネットの金網の地肌がむき出しで光ってしまい、見にくい。施設が豪華なのでこれは残念だ。
そうだ、あの名物と言われた「鎌ヶ谷おやじ」はどこにいるんだろう?
たしかネット裏最前列を指定席にして見てる常連だったという噂しか聞いたことがなかったが、見たところそれらしい雰囲気のおやじはいない・・ 鎌ヶ谷ボールパークになって、来なくなったのかな。
しかし、最上段のあたりで立って見ていたら、
「斎藤は手投げになっちゃったね」などというおじさん達がいてムムッと思った。後で報道を見たら「指にかかって体重が乗ったのは5球くらい」という斎藤のコメントも。このおじさん達、目が肥えている。
ハムの選手が空振りすると「メガネかけろ!」キャッチャーがパスボールすると「安いグラブ使うなー!」とヤジ。思わず笑ってしまった。この人達、かの鎌ヶ谷おやじか?わからなかったが、常連であることは間違いない。

ただ、この日はおじさん達を満足させるにはほど遠いハムの出来で、打線がまるで打てないわ、外野守備がダメだわで、僕はいつのまにメモをするのを忘れてしまった。おじさん達、しまいには巨人の打席で「打てー!」というようになってしまう(笑)
しょうがないのでグラウンド外を観察していたのだけど、5回のグラウンド整備の時になぜかラジオ体操がかかり、スタンドの多くの人がラジオ体操をおっぱじめるという不思議な光景になった(思わず僕もやってしまった)。メジャーリーグでは「セブンイニングス・ストレッチ」という言葉があるが、こっちは本物の体操。これだとYMCAの踊りほど恥ずかしくない。よく思いついたなぁと思う。
試合で目についたのは、5回に大田泰示がレフト後方の選手寮まで飛んでいく特大のホームラン(すごい高さだった)を放ち、初めて実力を見たことと、BCL新潟で僕がイイと思った渡辺貴洋が最終回に出てきたことくらい。あっさりと終わってしまった。ハムはイースタンでダントツの最下位。グラウンド外がこれだけ充実しているのに、中身がこれじゃ落差が激しすぎる。

スタンドを出ると、人工雪を飛ばしているマシンがさらにサービスをしている。観衆はなんと4000人以上。この中には、プールやイベント広場で遊んでた人たちも入っているのではないか。実際、試合の最中も野球を見ずに遊んでいた子供もかなり多かった。もしこれがここの普通の光景だとしたら、日本ハムの狙いは達成されている。彼らの狙いは「ボールパークを造る」ことであり、「野球を見てもらう」ことと完全にイコールではないんだろうと思う。 この地域は梨畑と住宅街で特に娯楽施設もなさそうだし、子供をつれて休日に遊びに来るには都合がいい。それにディズニーランドほどお金もかからない。
初めての鎌ヶ谷は(試合内容はともかく)みどころが満載だった。遠いが、梨が出始めるころにもう一度来てみたいと思った。うまく都合が合えばいいのだが。