老朽化した野球場の手入れもおねがいします

今月、中央高速の笹子トンネルで崩落事故が起き、9名の方が命を落とすという痛ましい事件があった。
そのため、各地の老朽化したインフラが次々と問題を起こしはじめる、といった見出しが雑誌を飾ることになってしまった。
折しもその2週間後、選挙によって日本は民主党から自民党へ政権が変わることになり、安倍総裁は早くも10兆円規模の大型補正予算を組むとの腹積もりがあるらしい。
そこで思いつくのが、新規のハコモノを作るよりも過去のインフラのメンテナンスにもっと予算を回そうということだ。僕もちょっと思ったりしたのだが、おそらくそんなに簡単じゃないんだろう。補修ですますより新規に作り直したほうがお金がかからなかったりするケースもあるらしい。
千葉県野球場
野球場はどうだろう。
老朽化したインフラの手入れとなると、橋やトンネルとか、学校の校舎など生活に直結したものが優先されるだろうから、スポーツ施設は後回しになりがちだ。だから直近で実現するかどうかというのは脇においておいて。
僕はたくさんの地方球場に見に行ったけれど、できたて・補修したての球場もあるが、「これはちょっと」という球場に出会うことも多い。
例えば上の写真の千葉県営球場。千葉のメイン球場の座はマリンスタジアムに譲ったが、27,000人の収容人数を生かしていまでも高校野球の地方予選や社会人千葉大会で使う。見た目も堂々としている。
でも、間近で見ると壁の傷み具合はすごい。建築の専門じゃないので耐震性なんかはわからないのだが、あれを見るとスタンドに入るのが少々おっかなくなる。グラウンドも、両翼は92mのままだ。
府中市民球場
東京都は硬式野球場の数が少なく、この府中市の球場はそのなかでも貴重な存在だが、数が少ないということは使用頻度が多くなるということであり、このように芝の状態がひどくなっている。
過密日程をこなす球場であれば人工芝に変えるというのも手だが、中には等々力球場みたいに旧世代の人工芝を使っていると、古くなって硬化してしまうケースも出てきているようだ。
天然芝の荒れにしろ、人工芝の硬化にしろ、選手にとってはケガをしかねない状態にあることに変わりはない。
太田市運動公園野球場
改修するといっても予算には限りがある。富士重工の城下町、太田市都市対抗北関東予選でおなじみだが、人工芝化や電光掲示板の設置などの改修はしたものの、スタンドについてはほとんど手付かずで、階段も狭いままだし、ネット裏のイスも古い。そしてグラウンドは両翼90mのまま。隣町の足利のほうが収容人数こそ少ないが、ずっとマシだと思う。


ここ何年かで、NPBでも使えるような新しい球場が出来てきた。広島のマツダスタジアムや新潟のハードオフエコスタジアム、那覇沖縄セルラースタジアムがそうだ。でもこういう大規模なところでなく、収容1万人以下の小規模な地方球場には、なかなか改修予算がつかず、両翼も旧世代のまま、おまけにあちこちボロいままという球場が多い。新築の方が「実績」としては目立つけれど、既存の球場の手入れも忘れないでいただきたい。
その際は、プレーする選手の安全を最優先に。