(番外編)津波で被災した写真を洗浄するボランティア(その2)

前回のつづき。


今回参加されたのは、自分を含めて14名ほど。うち男性は4名だけ。上は40代くらいの方から下は女子大生がいたり、あとは夫婦で参加されている方も。
どこで活動を知ったのかというと、知人が参加していたので知ったとか、ネットで「写真 洗浄 ボランティア」と検索をかけたらヒットしたなど、いろいろだった(自分は後者のクチ)。また、複数回参加されている方もいた。
昼飯は各自持ってきていて、活動場所の一軒家の二階で摂ったさいにいろいろ話をしたのだが、すでに現地にボランティアに行かれた方もいたし、上記の女子大生の子は週末に4日かけてこれから行くのだという。学生さんはこういう面で有利に動ける。


前回アルバムを乾燥させたあと、水洗に移る。乾燥しきらないアルバムを残して、アルバムから写真を少しずつはがし、いったん段ボール箱に入れた後、箱ごとにまとめて水洗する。最初に泥を落とす感じで洗い、そのあとすすぎを2回くりかえす、といった感じで行う。洗うといってもゴシゴシこするわけではなく、表面の乳剤をうっかりはがさないよう指で少しずつ落としていく。こするというより、たたくといった感じで指を動かしたほうが良いかなとおもった。

しかしこの時点で、すでに海水で写真の乳剤が流されていた写真も多く、水洗時にすでに顔の部分が真っ白になっていた(下地の紙がむきだしになっていた)のを見た時は残念に思った。特に、結婚式の集合写真など、中央部は残っていても周辺の人達が剥げているのがあったりした。例えば風景写真の場合、剥げた部分もある程度は何が写っていたかを予測して画像処理することはできるが、人の顔が失われていたらもう修復できない。
各工程を分担して作業していくが、作業じたいはそれほど難しいものではない。ただ、写真をアルバムからはがす時とか、水洗するときなど、画像が失われないように慎重さは求められる。やっているうちにどうしても疲労してくるので、そういったときに扱いが雑になってしまいそうになる。そんな時には、名前も知らぬ持ち主がこの写真にどういった思いをこめているのか、想像力を働かせてみるといいんだろう。
ただ、場所を借りているし、気仙沼に戻す日にちも約束しているので時間に限りがある。どんどん水洗していかなければならない。正直言うと、もう少しアルバムからはがす前に乾燥させる時間が欲しかった。品質と時間のジレンマがあるのは普段の仕事と同じである。


水洗した写真は別の部屋で吊るして乾燥させる。乾燥したものから、大量のポケットアルバム(富士フイルムが提供してくれたものだという)に入れていく。もちろん、同じアルバムからはがした写真同士で同じポケットアルバムに入れていき、違う持ち主のものと混同しないようにする。こうしてすべて洗い終えたら、まとめて箱で気仙沼に送り返すことになる。
この日の作業は夕方に予定通り終わった。終わったあとの後片付けを含めて、皆さんとてもよく動いていたと思う(自分はどうだったかな〜)。自発的なボランティアだけあって、皆さん意欲的でした。実はボランティア活動は初めての経験だったので、新鮮な気持ちになった。
参加された人たちには主宰の高野氏から記念の缶バッジがもらえる。

つけるとしたら、やっぱりキャップかな。


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さてこの写真洗浄活動、実は活動場所の確保が課題になっている。現在お借りしている一軒家があまり長く借りるわけにもいかないということで、現在探しているのだという。詳しくは以下のブログを参照されたい。
ハートプロジェクト洗浄作業・活動場所 ご提供のお願いです
津波でピンチの状態にある写真はまだ膨大な量にのぼる。これからも機会を見つけて活動に参加したいと思う。