(番外編)津波で被災した写真を洗浄するボランティアに参加しました


今回は、野球とは全く関係のない話です。


3月11日、東北地方太平洋沿岸を大津波が襲い、何もかも破壊しつくしてしまった。
がれきの山の中には、そこに住んでいた方々が大切にしていた写真・アルバムが非常に多く見つかった。家族や友人、親類を失った人にとって、過去のなにげない写真でも大変貴重なものであることは容易に想像できる。
写真の中のあの人は永遠に死なないし、歳もとらない。そこが写真の良いところ。


社会人になってから10年以上、自分は写真業界にかかわっていて、今でも片隅でひっそり?働きながら野球を見ている。そんな自分にとって写真を通じてボランティアをすることを4月くらいから模索していたのだが、6月4日にようやく実現した。

今回参加したのは「ハートプロジェクト」という、被災地から送られてきたアルバムを洗浄・乾燥し送り返すという活動で、東京都目黒区の写真館フォトタカノスタジオプラスの高野さんという方が主宰している。
作業場所は横浜市鶴見区、活動を知って場所を貸してくださった方の空き家だという。参加された方は自分を入れて15名ほど。自分も含め初めて参加された方も多かった。
送られてきたのは宮城県気仙沼市からのもので、現地で写真洗浄の活動をされている方からのご依頼だそうだ。 送られてきた状態はまだ海水に濡れたままで、洗浄をする前にアルバムごといったん乾燥させなければならない。
だが、この写真の状態に面食らった。銀塩写真(近年のインクジェットプリントではない、昔からある焼付け写真)にもかかわらず、表面が水彩画に水を落としたみたいに像が流れている。アルバムのフィルムをはがそうとすると色が溶け、あっという間に像が消える。
写真がインクのように溶けるなんて、想像もしなかった。乾燥しきらないままアルバムのフィルムをはがそうとすると、例えば顔の部分がはがしたとたんに絵がとけ、もう元に戻らない。それはその写真が死ぬことを意味する。
ある程度まで乾燥していれば、ペリペリとフィルムをはがすことができ、元の画像は崩れない。この活動は土・日に分けて行われるため、送られてきたすべてのアルバムを洗うことはせず、乾燥しきらないものは翌日に回すことにした。
アルバムからはがしたプリントはアルバム一冊ごとに箱に入れ、アルバム同士でプリントが混在しないように注意しなければならない。持ち主が違うものが一緒に送られているためだ。そして洗浄、乾燥ともその箱単位でまとめて作業する必要がある。
はがしたプリントは水で洗浄するのだが、長くなるので続きは次回。


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今回の活動をぜひブログで広めてほしいとご依頼を受けたので、リンクさせていただいた。
ハートプロジェクト写真洗浄についての情報


今回来ていただいた方々のうち、写真にかかわる仕事をしているのは僕と、カメラメーカーの宣伝部門にいるという方の二人だけだった。そして半数以上が女性。多少水の持ち運びなどはあるけれど、体力・技術はいらないので、参加してみたいという方はぜひ連絡をしていただきたい。