隠れた存在、社会人野球のクラブリーグ(つづき)


JABAの年間日程表のうち、「その他の大会」には各地方連盟独自の試合予定が書かれている。細かい字をよく見ていくと、数年前まで聞いたことのなかった試合が書かれているのに気づく。


このうちクラブリーグ埼玉は比較的以前から独自に行っているクラブチームだけのリーグ戦だが、あとはごく最近に始めたか、今年から始まっているものだ。
PDFファイルの予定表を見ていくと、都市対抗予選の時期を避けるようにして、週末に各地の野球場を転戦しておこなっているようだ。
特に大規模なのが中・四国のリーグで、6月から10月にかけて、2週間に1度くらいの割合で週末に4ヶ所に集まり試合を行うというもの。広島、山口、鳥取、岡山、四国のクラブ計12チームが県を越えて連携するという、かつての社会人野球では想像もできなかった試合形態である。
また、JABAの予定表には載っていないが、九州においてクラブチーム同士が北部・南部に別れて独自にリーグ戦を開始しているのを目にした。TeamBBkids


リーグ戦といっても独立リーグのように年間数十試合も行うものではなく、各チーム1回戦総当りといったものが多い。他に仕事を抱えた人達が行う完全なアマチュアのリーグであり、日程的に限度があるのだろう。


こういった試合はまず報道の対象にはならない。どんなに野球に詳しい人でも存在自体知らないのが普通だろう。じゃあなぜ僕がこんな細かい野球まで取り上げようとするか。
JABAの日程表の他の試合を見ると、トーナメントのオンパレード。しかも第○○回、あるいは百回を越える歴史を数えながらも、参加しているチームが「2」といった「大会」もちらほら目にする。伝統に縛られているあまり、試合をめぐる考え方が硬直化してはいないか。社会人野球は一見、変わることができない世界のように見える。
しかしそういった「伝統」の陰で、密かに、社会人野球の構造変化が少しずつ始まっているかもしれない。そういったかすかな期待から、僕はこの隠れた存在のリーグ戦をめざとく見つけるのだ。