2軍版・伝統の一戦を見に行く

阪神 3 - 2 巨人
4/26 ジャイアンツ球場 観衆2,399人

ジャイアンツ球場史上最多の観衆」がやってきたと書いてあった。その数3646人。スタンドだけでは足りず、一塁側上部にある練習グラウンドまで解放してまで客を入れたという4月25日の試合は、巨人・阪神戦。ジャイアンツ球場では史上初の巨人阪神戦だった。
巨人が2軍の活性化を狙って打ち出した「G2プロジェクト」は日テレの番組とタイアップした「ズムサタデー」として第一弾のお披露目になった。番組のレギュラー陣のトークショーなど、もりだくさんのイベント内容だったらしい。さすがにテレビの告知効果は高かった。ひょっとしたら、巨人ファンであってもジャイアンツ球場へ来たのは初めて、という人もいたんじゃなかろうか?


で、僕が行ってみたのは翌日の同カード。ただしイベントの数は少ないし(ズームインのレギュラーも来てない)、もう少し減ってくれるかなと思ってた。ちなみに、僕の人生初の巨人阪神戦であり、阪神を生で見るのはおそらく二十数年ぶり。
駅前に無料の送迎バスがいるのも初めて見たが、それよりスタンドに入った途端の光景がこれだ。

よく入ったな・・想定はしていたけど実際にほぼ満員のジャイアンツ球場を見るとただ感嘆する。
三塁側のビジター応援席を見ると・・いましたいました。タイガースの大応援団。
普段は関東で一軍の応援をしているであろう人達が大挙してやってきた。それに球場全体を見回して見ても、明らかに阪神ファンが多い。みんな普段は一軍の阪神を見ているんだろう。
僕はどちらのファンでもなく、ただ「伝統の一戦」を2軍で見られるという貴重な機会に立ち会いたかったので、勝敗の行方は二の次、とにかくナイスゲームを見せてくれと思っていた。


投げ合いは阪神秋山拓巳(西条高)、巨人が大竹寛(浦和学院ー広島)。秋山といえばルーキーの年に活躍して以来、名前を聞いていない気がする。阪神は若手中心、巨人は主力選手が一部混じっており、2番に亀井義行が入っていた。2番という打順が調整目的を感じさせる。

巨人の選手が守備につくときに子供達が一緒についていったり、チアリーディングチームが出てきたりと、まるで横須賀みたいな雰囲気で始まる。三塁側からラッパで「ハッピーバースデイ」が流れているので、選手名鑑を見たら、西田と秋山の二人が誕生日だった。2軍ではこういうのは聞いたことがないので新鮮。
先制は巨人。しかしその初回の1点以降、巨人は点が入らなくなる。秋山は良いのか悪いのか判断しかねる内容で、今のままだと1軍は厳しいかなというピッチングが続く。
巨人の方は、2番に入った亀井義行がいとも簡単にヒットを打つ(3打数3安打)ので、スタンドからは「もういいから今から神宮へ行け!」という声が飛ぶ。実際に3打席目で交代した。本当に神宮へ行ったのかどうかはわからないが。

そして、上の写真はルーキーの岡本和真(智弁学園)。僕の前に座っていたおじさんが「すごい雰囲気あるよね」と言っていたが、僕も同感だった。バットを構えた姿が堂に入っている。うまく説明できないのだが、スッと立っていると言うか、佇まいが良い。横浜の筒香がルーキーの時は「見逃し方」に大物さを感じたが、彼は構えた姿に大物を感じる。
ただし守備の方はまだまだ・・で、4回には北条史也の三塁強襲ゴロを弾き、同点打の足掛かりを作ってしまう。もっと練習してあれを獲れるようにならないと1軍は厳しいかと思う。

さて阪神ファン。やっぱりと言うか、厳しいですねヤジが。と言っても巨人の選手だけでなく、自軍に厳しい。「褒める時はしっかり褒めるが、ヤジを飛ばす時はしっかりヤジを飛ばす」というのが率直な感想だ。関東の2軍の試合ではほとんど見られない。
例えば、セカンドの北條が内野ゴロを弾き、拾ってファーストに投げアウトにはしたが、そういう時でも結果オーライにせず厳しいヤジが飛ぶ。横須賀ではそんなヤジは飛ばない。普段1軍の試合を見慣れて目が肥えているというのもあるかもしれない。プロなら当然とも言えるのだが、プレーする側から見たらやっぱり厳しいだろうな〜と思う。
「彼らって野球を知ってるんだよね」と先ほどの野球通らしいおじさんが連れの男性につぶやく。もちろんいろんなファンはいるだろうが、グラウンドにメガホンを投げ散らかしてばかりいる、というような世間一般のイメージだけではないことは確かだ。

7回、前日25日にも行った「ジャイアンツ球場初のジェット風船」をこの日も行なった。六甲おろしと巨人の応援歌がそれぞれ流れたあとに風船が飛ぶ。全員にオレンジ色の風船を配っていたようだが、阪神ファンはやっぱり受け取らなかったんだろうか。


球場の雰囲気に押された?せいかビールを2杯も飲んでしまい、試合展開よりもスタンドの雰囲気のほうに興味がいってしまったこの試合は、7回に北條が右ポールに当たるソロで3-1と阪神がリード。最終回に巨人が阪神内野のまずいプレーで1点差としたあと、2死3塁というヤマ場を迎えたがそのまま試合終了となった。このカードは1勝1敗のタイで終わった。

どちらのファンでもない僕が初めて見た巨人阪神戦はなかなか楽しかった。巨人2軍をアピールしようというこのG2プロジェクト、横須賀、鎌ヶ谷に次いで3例目の「見せる(魅せる)2軍」となったわけだが、今年に限らずずっと続けてほしい。とはいえこういうのはイースタンリーグ全体でいっせいにやるべきだなと改めて思う。
それともうひとつ、阪神の2軍本拠地にも行ってみたくなった。球場そのものというよりも、阪神2軍を見に来るファンとはどういう人達なんだろうか、関東の2軍本拠地とどう雰囲気が違うのか、興味が湧いてきた。

勝っても負けても虎命。いいですね。