バンクーバーの朝日

太平洋戦争前、カナダに渡った日系二世を中心とした野球チーム「バンクーバー朝日」。彼らをテーマにした映画「バンクーバーの朝日」が20日から上映されていたので、見に行ってきた。
http://www.vancouver-asahi.jp/
この映画を知ったのは、ロケを足利市でやっていたことからだ。ていうか、実は全足利クラブツイッターで教えてもらった。市がロケ場所を提供していただけでなく、クラブのOBが技術指導をしており、今年の都市対抗出場時には制作会社からお祝いのうちわをいただいている(僕も持っている)。
市内にかなり精巧なロケセットを組んでおり、夏には期間限定で公開もしていた。今思うと行ってみればよかった。


公開2日目だし、映画についての詳細なコメントは控える。「見に行ってください」とだけ言っておきます。
ただし気が付いたことが。


劇中の序盤、亀梨和也ふんするロイ永西が、一日の仕事が終わりに近づくころ「(野球に)行っていいですか」と年配の者にたずねると「野球なんかやって、いい身分だな」と冷たく言われるシーンがある。
これを見てあれっ?と思った。これと同じようなシーンを、ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」でも見たからだ。あっちは和田正人演ずる北大路犬彦が、仕事を続ける同僚たちを背に嬉々として練習に行こうとして白い目で見られてしまうというシーンだった。
その後の展開を見ていて、ルーズヴェルト・ゲームにトーンが似ているかもしれない、と思えた。でもこの2つの物語は撮影時期が近く、どちらかが片方の影響を受けたというわけでもあるまい。
朝日軍の選手達は、漁師だったり製材所で働いていたりホテルのボーイだったり、あるいは家業を手伝っていたりする。いずれも一日の仕事が終わってから、疲れた体にムチ打って練習にやってくる。
これは、現代の社会人野球ではないか。もちろん映画の中で描かれたものだから、当時の朝日軍が実際どうだったのかはわからない。
にしても、そういった野球チームの物語を全足利の地元で撮っていたとは、なんたる偶然。よく見ると、チームカラーは赤、キャップにAの文字、おまけに胸文字がAsで始まっていたりするから面白い。


映画を見る前は、「カナダに渡った日本人移民たちの苦闘」という物語としか思っていなかった(実際そうだけど)ので、実物を見てみて意外な驚きが多かった。それにしても、今年は野球がドラマ・映画とよく結びつく年でしたね。