9回2死、2ストライク@六大学秋季 立教 x 東大

立教 5 - 2 東大
10/27 明治神宮野球場 観衆9,000人


台風一過の快晴の日曜日、神宮球場のキップ売り場に並んでいると後ろのほうで学生の野太い声が響き驚いた。
昨日はー!雨で中止となりましたがー! ・・・この日の第二試合に出場する明治大学の学生が、レギュラー陣の乗ったバスを誘導しているさいに激励の声をかけているようだ。たぶん、これも野球部の「伝統」なんだろう・・
秋の六大学リーグで東大の試合を見るのは3試合目。すでに早稲田の優勝は消え(よって明治神宮大会もなし)、今年の野球の関心は東大がどこまでやれるかということだけになった。(社会人の日本選手権は大阪だし、見に行けない)秋季リーグはここまで0勝8敗。例年通りと言われればそうだが、前回僕が見たように接戦の試合は増えているのは間違いない。
試合開始にわずかに遅れてスタンドに入る。空はご覧のとおりものすごく青い。

1回の裏、椅子に座ってまもなく立教の2番・舟川敬文(足利高)が初球を振りぬき、ライトスタンド最前列に放り込んで1点先制する。この小兵とも言うべき選手はこの間代打で3ランHRをかっ飛ばしていた。数年前に初めて見たとき、おー足利高の選手が立教のレギュラーなんだと思っていたが、最近はスタメンを外れることが多かった。社会人で続けないのかなと思ったが、報道によると就職するらしい。
打たれた先発の辰亥由崇は2回以降は0点を並べるようになる。この前の慶応戦の時は、雨で中止の翌日は白砂謙介が投げていたが、今日はスライド登板。
最速でも127k程度の直球にスライダー、時折投げるカーブが主だが、立教打線はなかなかとられられない。特に両サイドに切れるファウルが多かったのは気のせいだろうか。ネット裏で見てても時折逆球があったりしてヒヤっとするのだが。

そして、これまで特に打てなかった打撃陣。立教の先発・斎藤俊介(成田高)はこの試合までの7試合で被安打23、防御率も1点台の投手だが、この試合は東大の打線は沈黙しなかった。
良かったのは4番でキャッチャーの笠原琢志(甲陽学院)。2回にライト線いっぱいの二塁打。4回にはショートの上に流すヒットと調子が良い。他の選手もよく食らいついていて、中盤まで互角だった。
辰亥は6回を三者凡退にするなど調子を上げ、ここまで3安打1失点。十分に試合を作ったと言い切れる。あとは味方の援護だが・・

7回裏、投打二刀流の白砂謙介がショート後方のヒット、続く有井祐人が三遊間を抜き待望の連打、だがこのチャンスはライトライナーに終わる。
逆に8回表、2死から立教の大塚拓(長崎西)にセンター前タイムリーを打たれ2-0とされる。辰亥は7回3分の2を5安打2失点で降板。一塁スタンドから大きな拍手。いやよく投げた。たぶん今季一番の出来だったんじゃないか。
以前の東大の戦績を見れば「よくやっているほう」だと思えたが、9回裏に驚きの粘りが待っていた。
9回1死から笠原がこの日3安打目となるセカンド裏ポテンヒットで出ると、白砂がライト前。次の有井は倒れ2死となったが、7番は本来投手登録の初馬眞人(桐朋)。ちなみにこの日の東大は投手登録が3人もスタメンで出ていた。他にも高校時代は投手だった選手が多いらしい。進学校のエースで四番、という選手が集まっているのか。
さっきから、斎藤の落ちる球がワンバン気味になってしまう。2ストライクから投げた球もコントロールできず完全に見切られた。2ボール2ストライク。落ちる球のサインは出せない。直球しかない。

後からビデオを見たら外角やや高めの直球だった。前寄りの守備のレフトの頭を越した。二者生還!? スタンドすごい盛り上がり。9回の土壇場で追いついた試合、今年何回目だろう?横浜金港に追いついた三菱横浜、WIENに追いついた全足利。 野球ってわからないな。
しかし詰めが甘かった。初馬は二三塁間に挟まれてしまい、サヨナラの好機を逸してしまった。
リードされても追いつく、という経験に慣れていないだろう彼らは、ちょっと浮き足立ってしまったか。10回表にサード強襲打で再びリードを許すと、スクイズ、レフト前タイムリーで3点を追加される。このイニングだけでエラーが(たしか)3つ。試合全体では計5つ。これだけエラーが多くては流れがつかめない。今回もまた、また「惜しい」結果に終わってしまった。打線は立教と同じ8安打。辰亥は好投した。でも勝てない。クラブチームが企業に善戦するときと同じ。勝てない・・


光明はある。投手は明らかに良くなった。防御率を見ると辰亥が春の5.33から4.03へ、白砂が4.50から3.44。チーム全体はまだ数字が出てないがたぶん下がってるだろう。以前のように「新聞のスコア表を見る気もしないような」点差という試合は少なくなってきた。
それと、今年のレギュラーは2年と3年が多く、戦力ダウンは少ない。・・とこういうふうに良い材料を探さないと東大のファンのひとは楽しくないだろう(笑)
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試合後に球場を出ると、朝停まってた明治のバスの代わりに、立教の借りた大型バスがいた。しばらく待ってると、スポーツウェア姿の立教の選手達が出てきて乗り込み始めた。
東大のバスは見当たらない。
東大の選手達は学生服に着替え、三々五々に出てきた。バッグを抱えながら駅に歩いていく。レギュラーも全員電車移動なのだ。六大学のうち、東大だけはバス移動をしている所を見たことがない。