夢も大事、でも筋も大事

この前、ドジャースが日本のクラブチームの選手との契約を強行してしまったニュースについて、JABAはこの選手を除名処分にしてしまった。
当連盟業務執行会議における決定事項について(PDF)


また、この件の続報がいろいろ出てきている。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/mlb/news/CK2013091902000192.html
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2013092600784


最初、このニュースが伝わったとき、おそらくネット上では「若者の夢を奪うな」といった意見や、日本野球界の閉鎖性を非難する意見が多くでてくるだろうなと思ってた。たしかにそういう意見もあったが、他にも「紳士協定」というあいまいな規定の問題とか、JABAのルール縛りの多さなど、球界全体のルール整備を問題視していたりするものが多かった気がする。
ただ僕が気になったのはそういうルール上の問題点よりも、「チーム関係者が知らずに契約を結んでいた」ということだ。「それはないだろう」って、ニュースを見ながら口に出してしまった。チーム関係者が知らなかったって、本当なんだろうか?


当たり前のことだが、野球ってひとりではできない。キャッチャーがいて、バックで守ってくれる選手がいて、点とってくれる選手がいる。練習グラウンドの確保、他チームとの交渉、スケジュールのまとめをしてくれる人もいるし、金銭面でのスポンサーや、スタンドで応援してくれる人もいる。いくら野球のウデが良いからといって、その良さはチームでプレーさせてもらって初めてスカウトの目に触れる。 報道されていることが本当なら、そういったことが全く彼の頭になかったということになる。そんなことは信じたくないのだが。
困ったことにこのチームは家電量販店がスポンサーについていて、このニュースで「スポンサー名+選手名」が連呼されてしまっている。これは大変に迷惑なことで、他のクラブチームの運営にまで影響を及ぼしかねない。


しかし除名処分ですか・・・
彼はクラブチームに入るとき、果たして社会人野球のルールをキチンと教えられていたのだろうか
他のクラブチームに深くかかわっているある人は、入部する選手全員にルールを告知できているかといえば「ノーと言わざるをえません」とつぶやいている。
ひょっとしたら彼は知らなかったんじゃないか?そうだとしたらちょっと気の毒だ。(本当は自分から規定を読まなければいけないんだろうけれど)
大学の野球部を辞め、さらに大学も中退し、クラブチームでプレーをしている最中にMLBのスカウトに声をかけられたら、野球選手なら誰だって心が動くだろう(アマチュアから直接渡米した選手で成功例がほとんどないとは言え)。彼のしたことは全く褒められないのだが、心情は理解できる。
今後は大学・高校生を含めてルールの告知の徹底と、やっぱりルールの再整備をお願いしたいと思う。今ある「田沢ルール」を今回のケースのようにドラフトを経ないでプロ入りした選手にのみ適用するとか、シーズン途中の移籍は認めない、とか漠然と思いつくのだが・・
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今回の騒ぎを作ったドジャースのスカウトって誰だ? 調べてみたら、ニュースを見つけた。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013072000147&g=spo
大慈彌氏って、メッツのスカウトとして名前も知られていたベテランじゃないか。この人が日本側のルールを知らなかったなんてありえない。
このままだと、この人は日本でスカウト活動ができなくなると思う。