大学選手権 決勝

慶應義塾大 1 - 3x 東洋大
明治神宮野球場 観衆約15,000人


今年の大学選手権は梅雨の影響をほぼ受けずに終わった。
最後の決勝戦も、雨があやしいかと思ったけれど、どうやら昼間は持ちそうなので、予定を変えて行ってきた。
最後は結局、東都 vs 六大学の伝統リーグ対決となった。

どれだけ混むか予想がつかず、開始15分前に着いたら窓口前は長蛇の列。今年から斎藤もいないし、たいしたこともないんじゃないかと思っていた。実際、窓口の座席表を見ると外野席は開放してない。
だがスタンドに入ると予想は外れ、内野席はもう8割がた埋まっている。うーん、これが伝統校同士(しかも関東)の人気なのか。だいぶ混んでいる中、自分はバックネット裏の東洋大側に座る。早稲田が出てないのでどちらでも良かったが、まあ慶応の応援は出来ないので・・
慶応の応援団は相変わらず華やか。東洋大も慶応に比べて数は劣るが、応援団はいるし、応援席もいっぱい入っていた。ただし、今思うと東洋は応援台には乗っていなかったような気がする。あの応援台は六大学の持ち物だと聞いたことがある。そこはやっぱり遠慮したのだろうか。


両チームの先発メンバーが発表され、慶応は福谷浩司(横須賀)、東洋は連投で藤岡貴裕(桐生一)で一塁側から歓声が上がる。藤岡は四連投か? その藤岡、1回は全く危なげなく凡退させる。
慶応の先発・福谷(「ふくや」だと思っていたが、「ふくたに」)は名前を聞いたことがあるだけでよく知らなかったが、球が速く初回から148kmを出す。しかし一・二塁間を破られ、続いて盗塁。さらに内野のエラーの間に二塁から一気に返って先制。この走塁がけっこう鮮やかで、試合巧者らしさを見せる。

2回の表、注目の伊藤隼太中京大中京)との対戦に身を乗り出す。初球、インコース低めにストレート、2球目も同じで追い込んでから、3球目にチェンジアップを放り見逃し三振。
藤岡は3回も1アウト二塁から左打者のインコース低めにストレートを放り見逃し三振。この制球力がなかなか素晴らしい。直球は143kmくらいだったが、コースが乱れない。
いっぽう慶応の福谷は序盤こそ打たれたが徐々に立ち直る。けん制がうまく(一塁への球も速い気がする)、3回にはランナーを刺す。
4回、再び藤岡と伊藤の対決。やはり藤岡は伊藤相手だと集中力が変わり、最速147kmと他の打者より2-3km速い(笑)。この打席も三邪飛にとる。
が、6番の山崎錬(慶応)にファールでかなり粘られ、レフトオーバーにタイムリーを打たれる。伊藤との対決に神経をそがれるせいか、5、6番に合わされていた気がする。連投の疲れからか150kmに届いた球もない。
しかしこのピッチャー、やはりただものではない。次の5回、先頭から三球三振にとり、三者凡退に抑える。まわりの観客は「流れが悪いよね」などと4回は言っていたのだが、そんな流れを渡さずに済んだ。マイナー野球をたくさん見てると、一度流れが悪くなるとグズグズになってしまうパターンが多いのだが、さすが大学野球の決勝戦だと思う。

一塁側にいると東洋大の応援がよく聞こえない。音の伝わり方のせいか、同じ側の音が小さい。だから三塁側の慶応の応援団と比べて応援に元気がない気がしてしょうがない。詰め掛けた観客はどちらも同じくらいのはずだが。ひょっとしたら、ブラバンが来ていなかったのだろうか。
まわりの観客はもちろん東洋の応援で、熱い人達が多い。特に僕の前に座っていたおば様が熱狂的なファンらしかった。親子連れこそ多くないが、年齢層はバラエティに富む。大学選手権の決勝は初めてだが、想像してたより盛り上がっていた。


6回はお互いランナーを出してそれぞれ盛り上がるも、抑える。特に慶応の福谷は150近いストレートを多投、東洋の打者の振りが大きいこともあって徐々に調子を上げている。藤岡は7回くらいから変化球主体に組み立てを変え、時々塁に出すも、コントロールの良さは崩れず、三振を積み上げていく。特に、9回二塁打を打たれたあと、次打者をキャッチャーフライ、続いてチェンジアップで三球三振にとった投球は思わず唸ってしまった。
ひとことで言うと、いい試合だ。

試合は延長に入り、僕のまわりも緊張から口数が少なくなってきた。いや、真剣な投手戦に見ている我々も疲れてしまったんだと思う。
10回、藤岡の様子がおかしい。どうも足をつったようで、監督がマウンドに上がり交代か、と思ったが、見るからに「いけます」と監督を制したのがわかった。10回表も凡退。
この投手戦はいつまで続くんだ・・・と思った。福谷も決して球が浮いてこない。スピードも落ちてるようには見えなかった。
その球を先頭・岡がすくってライト前。そして一番・小田裕也(九州学院)が初球を思い切り引っ張ると、あっけにとられるスタンドの前をすっ飛び、右翼中段まで飛び込んだ。劇的すぎる、マンガのようなサヨナラ。
東洋大とは何の縁もないのに、思わず大騒ぎしてしまった。
今年見た試合の中では最もレベルの高い試合だった。ドラフト大豊作の年は過ぎても、レベルは落ちていないと再認識した。プロ、特に独立リーグの選手も見習わないと。


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