都市対抗野球北関東2次予選

全足利クラブ 1 - 6 日立製作所
太田運動公園野球場 観衆約3,000人(目測)


都市対抗の予選を見るのは、実は本戦よりも好きだったりする。1点を争う悲喜こもごものドラマもあるし、東京ドームを埋めるような「動員っぽさ」が薄い感じがするからだ。うまく言えないのだが、ドームの本戦というと企業の取引先が義理で(スーツ姿で)来るとか、社員にも半分強制になってるんじゃないかとか、そういう大人の事情の匂いがする。
これに対し地方予選は、純粋にチームのファンであるとか、野球が好きであるとか、そういった人がよく来るという印象を僕は持っている。もちろん勝手な印象なのだけど、この間の南関東予選の観客数を見てるとあながち間違ってないかなと思う。新日鐵JFEの規模であれば、動員をかければあれより遥かに多くの社員が来るはずだからだ。

さて北関東。僕は、ここの予選は野球好きの純度が高い?、熱い予選だという印象がある。北関東3強(富士重工、日立、住友金属鹿島)がいずれも企業城下町だということと、茨城GG、全足利と地元密着の強豪クラブが存在するからだと思う。
富士重工の地元・太田運動公園まで車で走ると、球場近くの工場敷地内に誘導される。都市対抗予選のための臨時駐車場になっているのだ。以前来たときは球場内に止められたが、もう試合開始まで近かったので、そこは既に埋まっていた。
球場は試合20分前には着く。食料の売店類は開いてなく、チケット売り場とJABAの広報誌売り場を設けている。チケット\600を払い中へ。屋根のあるバックスタンドはもう人で埋まっている。両翼はまだそれほど来ていないようだ。

日立の先発は河村光速(埼玉栄高―駒澤大)という、ピッタリの名前のピッチャー。初回から勢い良く投げていき全足利を抑えていく。全足利の先発は、予想通り本間裕之。先日の新潟大会でも一人だけチームでは別格の投球を見せておりどこまで日立に対抗できるか注目していた。しかし一回から満塁となるも最後はなんとか凡退。二回以降もランナーを出すが日立、あと一本が出ず無得点が続く。
本間は福島の聖光学院を卒業後、たしかプロ志望届けを出していたと記憶する。シダックスへ進むも廃部となり、どういう縁かわからないが全足利に入る。同僚の清水貴之、杉山慎投手がNPBを目指して独立リーグ入りし、そしてあの岡田幸文は直接NPB入りしたあげく一軍昇格も果たした。ここで思い切り企業相手に投げ、NPBにアピールしてほしい、そんな思いで見ていた。

ただし今日の足利は打線が援護できない。日立の河村、変化球でカウントも稼げるし、テンポも悪くない。バットも振らずに見逃しをすることが多かった気がする。結局5回まで無安打が続く。
一塁側は日立の応援団(おそらく大学の応援団とチア、それとバスで来た日立市民の皆さん)がひしめき、三塁側には50人ほどだが全足利の応援団。バックネット裏には隣町・足利から来て応援する人も多かった。気がついたのが両応援団ともマイクを使っていないこと。うーん経費削減の影響がこんなところにも及んだかと思ったが、あとで公式パンフを見ると昨年の大会から禁止になったとのこと。

日立は4、5、6回に1点ずつ追加する。このとき全足利はもったいない守備が多く、一塁から足が離れて併殺が取れなかったり、外野からのバックホームで間違いなくアウトのタイミングも本塁で球を落としセーフにするなど、やや足を引っ張ってしまった。企業相手に細かいミスは響く。それでも6回には3連打で1点を返し、3-1と追い上げる。
しかし本間が降板したあとは後続が安定せず、押し出し3つなどで3点を追加される。この大観衆がプレッシャーになってしまったか、全くストライクが入らない。運の良い当たりでアウトにできたが、コールドになってもおかしくなかった。
日立は河村から平野貴志(桐蔭学園―法政大)にスイッチ。テークバックの小さな右腕でタイミングも取りづらいと見え、付け入るスキを与えなかった。最後は6-1で終了。
本間は6回3失点と踏ん張ったと思う。ただやはりクラブチームは層が薄く、企業に勝つのはなかなか難しいなと感じたゲームだった。