野球界の「未来構想」

「未来構想」策定へ プロアマ合同の野球協議会、PT設置を決定― スポニチ Sponichi Annex 野球
野球界から「未来」という言葉がまともに出てきたことって、あったろうか。
あんまり記憶にない。
プロアマの垣根が少しずつ低くなるなど、野球界も20年前に比べてずいぶん変わったものだが、それでもこの変化の速い時代、なんとも牛歩のように思える。
そんななか出てきたこのニュース。野球界でとうとう、未来のことを考えようという動きが出てきた。
正直言って、遅きに失した感はある。
それでも、ようやく未来という言葉が出てきたかという感じで、喜ばしい話だ。


まだどういったことをやるのか見えてこない。東京五輪までに提言をするとのことらしいが、それではちょっと遅くないか。その提言をもとに動き出すのはいったい何年後だっていう話だ。
もうちょっとスピード感がほしい。


野球の未来に対してどんな構想を描くか、自分達野球ファンも考えなければいけないような気がする。

栃木ゴールデンブレーブス

BCリーグについて|ルートインBCリーグ -Baseball Challenge League-
来年から参戦する、BCリーグの栃木県球団のチーム名が決まった。その名は、ゴールデンブレーブス
最初、栃木がなぜゴールデンなのかというのが腑に落ちなかったが、そういえば日光には東照宮(陽明門)がある。おそらくそれだろうなと合点がいった。ただ、栃木名産の大麦が金色に輝くさまも意味しているらしいと書いてあったが。
で、ゴールデンに続くのが「勇者」ブレーブスというのがなんだか意外な感じがする。オリックスブレーブスの名前を手放してずいぶん経つし、東芝は「ブレイブ・アレウス」なのでかぶらない。思わぬ名前が使われずに残っていたなあというのが感想だ。
でも、せっかく東照宮なら、三猿にちなんで「ゴールデンモンキーズ」でもよかったかなと後から思った。金猿。キャラクターも容易にデザインできる。かずさマジックとかぶりそうだが。


で、それと同時にtwitterでわずかに上がっていた声が、社会人野球への影響。特に全足利。選手集めや、観客離れを心配する声があった。


よく考えてみたが、僕は影響は無いと考える。むしろ、プラスの効果しかないのではないか。
選手を集めるのに苦労するのではないかという声だが、独立リーグに行く選手というのは、どうしてもNPBに行きたいから行く、という選手が多い。だから、地元にチームがあろうがなかろうが関係なく独立リーグに行く。BCリーグでダメだったからと、よりNPBに指名される可能性の高いアイランドリーグへ行った選手もいる。
かつてBCリーグが出来たばかりのころ、千葉のクラブチームからごっそり選手が抜けたことがあったが、今は独立リーグもだいぶ浸透し、選手達の厳しい環境、NPBに指名される壁の高さ、はもう皆が知っている。
それから観客について。BCリーグは基本的に「県のチーム」だ。これに対して社会人野球は「市のチーム」と言える。。いわば「街の野球チーム」が基本となる。被っているようでちょっと異なる。
特に足利という土地は、宇都宮を中心とした「栃木県」よりも「両毛」の方が結びつきが強い。BCリーグ栃木は本拠地はきっと宇都宮だろうし、野球ファンの意識がそっちばかりに行くとは考えづらい。


むしろ僕が期待したいのが、栃木の地元紙・下野新聞で野球がより取り上げられるようになることだ。下野新聞では「県内4大プロスポーツ」と称し、栃木SCリンク栃木ブレックス、日光栃木アイスバックス、宇都宮ブリッツェンをアピールし、野球はカヤの外だった。
BCリーグに参入することで、そこに野球が割って入ることができる。子供達に生で野球を見せる機会が増えることにもなるし、少子化でスポーツをする子供も減ることを考えると、野球のアピールにおける役割は小さくない。BCリーグで初めて野球を目にした子が、将来社会人野球に来るかもしれない。


毎年秋には、「栃木県最強王座決定戦」と称し全足利との定期戦を開くなどというのはどうか。スタジアム外でB級グルメのイベントを共催するとか、楽しいイベントにしてしまう。BCリーグで野球の世界に引き込んだ人達を、さらに社会人野球沼へ誘いこんでしまいたい。

なぜ、この日に?

都市対抗野球が始まった15日の夜、僕は仕事の後でどうしようか迷っていた。
なぜなら、神宮では日米大学野球もあり、東大の宮台康平が先発することになっていたからだ。でも、都市対抗の初戦はMHPS横浜。
迷ったあげく、都市対抗はまだ何試合もあるから、と神宮へ向かった。



曇りの予報だったのに時々霧雨や小雨がぱらつくなど、あいにくの天気だったせいか、お客の入りはいまいちだったようだ。ちなみに日本打線もあいにくの天気だった。
しかし、この客の入りは雨のせいだけだろうか?


この日、福岡ではNPBオールスターゲームが開かれ、テレビもやっていた。
そしてドームでは都市対抗の初戦。日生がすごい動員をかけたらしい。
なんでこの日にみんなやるのか。
残念ながら、ここに日本の野球の現状が垣間見えた。


神宮球場の外では、侍ジャパンのグッズ売り場があった。侍ジャパン大学と名乗り、HPにもこの日の試合が載っていた。
だというのに、NPBではオールスターゲームが開かれている。これでは、関心がばらけてしまうではないか。
せっかく侍ジャパンというブランドを育てようというのに、どうにもちぐはぐな感じが否めない。プロアマの垣根が低くなってもうずい分経つと思うのだが、まだ道半ばである。

創部62年目の初出場

都市対抗予選の写真などを載せたいと思いつつ忙しくてできない今日この頃。この日のニュースは都市対抗予選の話題で最も興奮したものだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160608-00000089-mai-base
きらやか銀行都市対抗初出場を決めた。山形県勢としてはなんと66年ぶりの快挙だという。
しかし僕がもっとすごいと思ったのは、この野球部の創部が1952年、創部64年目だったということだ。
企業チームとして会社の名前を背負いながら、64年間も都市対抗に出場できなかったのに、今まで廃部にならなかったということにただ驚いている。
これはすごいことです。社会人野球を好きな人ならきっと理解できると思う。
なにしろ、予選で敗退が続こうものなら「廃部」の2文字がちらついてしまう関係者は少なくないであろう現状だ。現に、高度経済成長期にはたくさんの企業が野球部を持ち、そして次々と手放していった。


そんななかにあってこれだけ長く野球部を持ったままということは、野球部を単なる宣伝の手段や社内の一体感の醸成のためとして見るのではなく、人材の育成という側面をずっと重視してきたことを表していると思う。
これから野球部をめぐるもっと深い記事も見られることだろう。関係者のかたがたがどんな考えで部を持ってきたのか、とても興味がある。


なにはともあれ、おめでとうございます。

認知症の予防に、野球観戦を

野球観戦の高齢者の健康に及ぼす影響に関する共同研究スタート | 認知症ねっと
早稲田大学西武ライオンズが、野球観戦が老人の健康に与える影響について共同研究をするのだという。

この視点は非常に面白い。
ずいぶん前に書いたけれど、茨城GGの応援団にお年寄りの方がいて、横に酸素ボンベを置いたままGGのイメージカラーの黄色のシャツを着て応援しているのをみて感動したことがある。

でもアマチュア野球をたくさん見る人なら、観戦層の高さに気が付いているはずだ。昔の男性はやはり今でもサッカーより野球という人が多い。男性の高齢者はおしゃべりを楽しむ習慣もない人が多いだろうし、家から出なくなって他人との交流がなくなってしまう。
そんな人達でも、近くに野球を見る環境があれば足が向くかもしれないし、まわりでケアする人達も、誘うネタになる。地元に野球チームがある街というのは、意外とこんなメリットもあるのだ。それが実証されたら素敵なことだと思う。

「要請」と「必達」

久々に書く記事がこんなことだなんて悲しい。
三菱自動車岡崎・倉敷とばっちり…都市対抗予選辞退 - 大学・社会人 : 日刊スポーツ
あの三菱自動車の燃費数値改ざん問題がとうとう野球部にまで飛び火してしまった。
危ないとは思っていたのだけれど。


それにしても、会社側のこの言い草。

担当者らは、燃費が「商品性の一番の訴求ポイント」と認識し、開発関連部門の管理職・役員からの燃費向上の要請を必達目標として感じていた。

プレスリリース | ニュース・イベント | MITSUBISHI MOTORS


管理職・役員からの燃費向上の「要請」って何だ。それを下の者が文字通り、要請だと思うだろうか?会社というものに所属したことにある人なら誰でもおかしいと思うだろう。
「よろしく頼む」とあいまいに言っておいて、何かコトが起きると「知らなかった」と言う。この会社の社風がこの文章だけでも垣間見える。


廃部、休部は考えていないというのが救いだが、こういった幹部達の会議ひとつで野球部が吹き飛ぶ。企業チームの一番嫌な部分だ。神奈川の社会人野球ファンは思う。

早くも今シーズンベストゲームか?@東京六大学春季:東大x早大


昨日、例年と違った観戦スタイルなんてことをつぶやいたのだが、いきなりそれを翻すように六大学観戦。そして、その最初の試合は実に見事だった。


東大の好投手・宮台康平(湘南)を見に行く目的で行った神宮、相手の早大は(って僕はこっちのOBなんだけど)おそらく同じ左腕、しかも同じ3年生の大竹耕太郎(済々黌)だろう。これはきっとロースコアのいい試合になる。神宮へ歩いていく途中には「8回まで0-0なんてあるかも」と思ったりもしたが、まさかそれが本当に実現すると思わなかった。

早大の大竹が最初からコントロールに苦しみ、東大はランナーを出すが得点に結びつかず。
一方の宮台。今日は最初から低めのストレートが良く、早稲田は三振を繰り返す。最速は142Km(ボール球なら145Kmもあった)で、コンスタントに138〜9Kmを出す。これは本当にすごい。東大の投手って課題評価される向きがあるがこの投手は本当にいい。

低めのストレートのキレの宮台に対し、大竹はどこから腕が出てくるかわからないフォームからきわめて多彩な変化球を動かしてくる。同じ左腕だがタイプが全くことなる。似ているのはただ「相手打線が打てない」ことだけだ。

「こりゃ六大学の華になりそうだ」と僕は思った。これは見ごたえがある。
想像だが、この試合はお互い意地の張り合いになっていたと思う。あいつより先に降りるわけにいかない。そんな気持ちがこの日の良さを引き出していたように感じた。


先にマウンドを降りたのは大竹の方だった。
9回表、代打に立った下雅意が右中間を破るツーベースを放ち、ここで小島和哉(浦和学院)にスイッチする。ここで東大は四球、内野ゴロ、盗塁で1アウト2,3塁と絶好のチャンスを得るが、後続が三振、サードゴロに倒れ得点ならず。宮台を援護できなかった。


そして9回裏。
ヒットとバントで2塁にランナーを置いたところで、早大の三倉進(東邦)が中途半端にスイングしたバットに当たり、ふらふらっと上がってレフト前に落ち、さらにそれを後逸してしまう間に2塁ランナーがホームイン。サヨナラ負けという結果になってしまった。息詰まる投手戦の果てに、なんという幕切れか。あっけなさすぎてスタンドもなんだか力が抜けた感じになってしまった。


最後は変な終わり方になってしまったが、この二人の対戦するカードはぜひまた見てみたいと思わせた。東大相手の試合だと来ないという六大学ファンの人達も、宮台のピッチングは一度見てみてほしい。